北岳登山の思い出

夜明けをまつ富士山と北岳

南アルプスの正式名称は赤石山脈、その名前からして南アルプスを代表する山といえば赤石岳(3121m)でしょう。しかし最近では北部にある北岳のほうが、圧倒的に賑わっています。なんと言っても富士山(3776m)に次ぐ日本第2位の高さ(3193m)があり、また比較的交通の便が良いことも人気の理由です。

2015年8月、南アルプスの北岳(3193m)にひとりでテントを担いで登りました。私が北岳という名前を知ったのは小学6年生の夏休み、父に連れられて富士山に登った時のことです。山頂で近くに居た人が「あれが北岳、日本で2番目に高い山だよ」と教えてくれました。しかし何故か登る機会がないまま長い年月が過ぎ、一緒に登山した頃の父の年齢も超えてしまいました。そんな事を考えながらの感慨深い山行となりました。

北岳は高山植物が多いことでも知られており、北岳周辺の固有種であるキタダケソウは特に有名で、この花を見るためにわざわざ梅雨の時期に登る人も多いそうです。残念ながら私が登った8月にはキタダケソウの開花時期は過ぎていましたが、岩の隙間あちこちに多くの花が咲いており、疲れを癒やしてくれました。

悪天候のため入山を1日遅らせ、8月15日早朝4時45分に南アルプス市営芦安駐車場に到着。ここに車を駐めて南アルプス林道を走る登山バスに乗り換えます。無事に5時15分の始発バスに乗ることが出来、約1時間で登山口の広河原(標高1520m)に到着。インフォメーションセンターで登山届けを提出して外に出ると、北岳の山頂と途中の雪渓がかすかに見えました。

広河原登山口より、これから登る北岳と山頂手前の雪渓

テント泊装備にカメラや三脚など、欲張って25kgを超えた荷物に後悔しながら一歩一歩登っていくと、樹林帯を抜けたところでお花畑の向こうに大樺沢左俣の雪渓と北岳山頂岩稜が姿を現しました。これだけでも来て良かったと思える眺めです。

お花畑のむこうに目指す北岳山頂が見えた

大樺沢二股(標高2220m)でひと息。ここまで既に標高差にして700m登ってきましたが、まだ半分以上残っています。

大樺沢左股の雪渓

二股では大勢休憩していて、これから右俣、左俣のどちらのルートを選ぶか、あちこちから話し合いが聞こえてきました。大半の人はより緩やかな右俣から北岳肩の小屋に向かう様ですが、私は左俣から八本歯のコルを経て北岳山荘のテント場を目指しました。(北岳肩の小屋はトイレの臭いでテント場まで臭いという評判もあり・・・)

北岳バットレスの大岩壁

雪渓が残る左俣を詰めていくと北岳バットレスと呼ばれる大岩壁が間近に迫ります。バットレスからの落石に注意しながら進み、梯子や鎖が連続する難所を抜けると、八本歯のコルに到着、今日の目的地北岳山荘がやっと見えてきました。もうひと息、と言いたいところですが、まだまだ難所が続き、気を抜くことは出来ません。

山頂手前で北岳山荘にむかってトラバース

切り立った崖を木製の手すりや鎖を頼りに慎重にトラバースし、ヘトヘトになりながらやっと北岳山荘に到着しました。テントを張り終えたら、とにかく一休み!

夕暮れ迫る北岳山荘

テント場から真っ正面に富士山が見えるのですが、夕方から雲がかかってきて眺望がなくなってしまいました。夕食を食べたら、さっさと一眠り。22時頃に目が覚めてテントから顔を出すと、すっかり晴れ上がって満天の星空です。ダウンを着込んで外でウイスキーを飲みながら、1時間近く星を眺めていました。

テントの上に天の川
北岳と星の日周運動

そしてまた眠りにつき、周りが動き始める気配で目が覚めると東の空が明るくなり始めており、雲海の上に富士山のシルエット。やがて雲海から朝日が姿を現し、山々を赤く染め始めました。

ご来光と富士山

ご来光を見て朝食を済ませたら、夜露でグッショリ濡れたテントを撤収し、再び重いザックを担いで山頂までの登りです。昨日の疲れは抜けていませんが、山頂への期待で自然と足が軽くなります。でも油断禁物、無事に下りるまでが登山だ、ゆっくり一歩ずつ確実に・・・と自分に言い聞かせながら岩場を攀じ登ってゆきました。午前7時45分、無事に3193mの山頂に到着。山頂では既に大勢の人々が休憩していました。

北岳山頂で憩う人々
自分が写っている写真が殆どない・・・

山頂からは登りと反対側の北岳肩の小屋に下り、右俣経由で大樺沢二股まで、そこからは昨日と同じルートを辿って広河原に下りました。疲れたけど充実した二日間で、ウエストが3cm縮みました。メタボ健診の前には是非登山を!

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