基本的にはただの風邪ウイルス?
新型コロナウイルス(SARS-COV2)感染が世界中で猛威を振るっていますが、SARS-COV2と従来のコロナウイルス(一般的な風邪ウイルスとして昔から市中に定着しているもの)と何が違うのでしょうか。個人的な妄想の域を出ませんが、基本的には何も変わらないのではないかという気がしてきました。以下はあまり根拠がない個人的考察です。
従来の風邪コロナウイルスでも重症化するケースがあるのでは
従来のコロナウイルスは人類と共存して長い年月が経っているので、ほとんどの人が子供の頃に出会っている。子供の間に感染するとあまり重症化しないので普通の風邪で終わってしまう。ウイルスが変異したり個人の免疫(抗体価)が低下したりすると再感染するが、基本的に再感染では風邪で済んでしまって重症化しない。運悪くウイルスに出会わないままある程度歳をとってから初感染すると、ある程度の確率で重症化するのではないだろうか。
よくわからない重症肺炎の経験
今まで経験した症例の中には、原因がよくわからない肺炎で、基礎疾患もないのに重症化したケースが何例か印象に残っている。似たような経験は長年内科医をやっていれば少なからず思い当たるのではないだろうか。中には間質性肺炎のような後遺症が残ってBAL(気管支肺胞洗浄)まで受けたが、特異的な所見を得られなかったケースもあった。普通の風邪にすぎないはずのウイルスでも、歳をとってから初感染すると重症化するリスクがある、そう仮定したらこれらのケースも納得しやすい。
誰も出会ったことがないSARS-COV2
そして誰も出会ったことがないSARS-COV2が社会に入り込んできた。若年者にとってリスクは低いが、高齢者は重症化のリスクがある。これはSARS-COV2が他のコロナウイルスと比べて特別に毒性が強いわけではなく、単に全ての人にとって初感染だが、歳をとってから初感染した人の中から重症化する人が出ている、そんな気がしてきた。
強固な集団免疫は難しい?
だとすると、集団免疫を目指しても麻疹や天然痘のような強固な集団免疫は出来ずに、SARS-COV2は風邪ウイルスの一種として世界に定着して共存していくしかない。若いうちにウイルスに出会って免疫を持った人が社会の多数を占めるようになれば、本当に5番目の「風邪コロナウイルス」になる。ウイルスの変異や免疫の低下で再感染することがあっても、重症化のリスクは高くないだろう。まさに「ただの風邪」で済むわけだ。
現在ある程度以上の年齢の者にとっては厄介な話で、一度は感染するかワクチンで抗体を獲得するか、どちらかしかない。集団免疫によってウイルスを社会から排除するシナリオが実現しない以上、それ以外の逃げ道はないのである。
ワクチンの効果はどれくらい続くのか
それでは高年齢者はずっとワクチンを打ち続けないと行けないのだろうか。必ずしもそうではないと思う。ワクチンで一旦基本的な免疫を獲得すれば、ウイルスが社会に定着している限り、ブーストの機会はいっぱいあり、一度のワクチンで末永く抗体を持ち続けられる可能性がある。また、運悪く抗体価が下がったり変異ウイルスに出会ったりして感染しても、重症化を防ぐ程度の効果が残っていれば十分だ。重症化さえ防げたら、ただの風邪なのだから。
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