ワクチンの安全性と有効性について
過去のエピソード
病気を防ぐためのワクチンですので有効でなければ意味がありませんが、それと同等以上に安全性も重要です。過去には開発されたワクチンの中には、安全性が問題になったものがあります。
デング熱
デング熱は東南アジアでよく見られる病気で、デングウイルスを持ったヒトスジシマカに刺されることで感染します。数年前に日本にも持ち込まれてニュースになりました。デングウイルスのワクチンは20年以上前から開発が試みられていますが、未だに完成に至っていません。
デングウイルスには4種類あり、ある種類の抗体を獲得しても他の種類には無効であるばかりか、ある種類の抗体ができると他の種類のデング熱ウイルスに感染してもその抗体が作成されないという特性があり、デング熱に2回目に感染した時に劇症化することがあります。ワクチンを接種した場合中途半端に1~2種類のみの抗体ができると、むしろ劇症化するリスクを増やす危険があるのです。
RSウイルス(RSV)
RSウイルス(RSV)は世界中に広く分布していて、ほぼすべてのヒトが幼児期に感染するウイルスです。症状は軽症の風邪から肺炎まで様々ですが、特に生後6か月齢未満で最も重症化するといわれます。
2005年の推計では全世界で発展途上国を中心に5歳未満の子供の66000~199000人がRSウイルスによる肺炎で死亡していると報告があります。このRSウイルスに対するワクチンも古くから研究されていますが、未だに完成していません。
1960年代に米国で不活化RSVワクチンの治験が施行されましたが、RSV初感染時に摂取された子供の80%が重症化して入院となり、接種されていない子供の入院率2%と比較して圧倒的に悪く、ワクチン接種がかえって重症化を招く結果となったのです。
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