新型コロナウイルス~情報の氾濫に思うこと(2)

4)情報の中の「事実」と「意見」を区別する

発せられる情報の中で、事実と意見の線引きがあいまいなものが少なくありません。事実には根拠があるはずですが、事実のように断定的に書かれていても根拠のない物はその人の意見(私見)の可能性があります。

同じ事実を見たときに、どんな意見を持つかは人によって違って当たり前です。どちらか一方だけが正しくて他方は間違いなどという事はありません。時がたてばどちらがより正解に近かったかわかるかも知れませんが・・・。違う意見を比較検討したうえで、最悪の事態を回避してより良い未来を選択できるよう議論して知恵を絞ることが大切だと思います。

例えば現在の状況に照らして言うと、日本で新型コロナウイルス感染者が再び増加していることは、まぎれもない事実です。日本やアジアでは新型コロナウイルスによる死者が欧米と比較して圧倒的に少ないのも事実です。

これらの事実の上に立って、「再び感染が拡大する危機に直面している」「いや、日本では重傷者が増えていないので感染拡大を不安視する必要はない」というのはどちらもその人の意見です。

しかし日本やアジアで今まで死者が少なかった本当の理由が解明できていないのも事実です。この事実を無視して、安易に楽観論を信じる気には私はなれません。(というのは私の意見です)

また、マスクが感染防止対策に有効かどうかという議論がよくなされますが、事実としては「有効である」「有効でない」と両方のデータが存在します。生命科学の分野では相反するデータが示されて議論になることはよくあることです。日本人の多くがマスクをしている状況をみると、大半の人はマスクの有効性を信じていると思われますが、マスクが嫌いな人は「マスクなんか効果がない」というデータを信じたいでしょう。

こういう場合多くは、もっとデータを積み上げて状況を細分化・層別化して研究を続けると、有効である状況と効果がない状況が見えてきます。つまりある条件下では有効だが、条件が変わると効果が認められないという可能性が高いのです。

その条件が特定されていない以上は、「マスクが無用なことがわかりきっている(例えば周りに人がいない)」とか「マスクがかえって害になる(運動する時や熱中症の危険が高いときなど)」という状況でなければ、出来るだけマスクをしておいた方が無難だと思います。(というのも私の意見です)

それにしてもマスクをしていない人を攻撃するような「マスク警察」なる人種まで生まれるようでは行きすぎの気がしますが。

5)陰謀論に注意

新型コロナウイルスに関して多くの陰謀論が現れては消えていきました。ウイルスは中国の生物化学兵器研究所で作られたとか、ビル・ゲイツはワクチンで一儲けしようと企んでいる、あるいはウイルス自体がそもそもでっち上げだ、など様々なものがあります。これらの多くは、まともな人なら相手にしないようなものですが、人々が先の見えない不安の中に置かれていると、心の中に忍び込みやすくなります。中には支持率を上げるために陰謀論を利用しているような政治家さえいます。

陰謀論の多くは客観的に見える事実の断片をつなぎ合わせて、その陰に見えないストーリーを作り上げることで、まるで真実であるかのように体裁を取り繕います。しかし、実際には陰謀論で取り上げられている断片的な事実以外に、多くの事実が存在しておりそれらを冷静な目で見ると、ストーリーが破綻していることが見抜けます。

まともな科学者のほとんどとが陰謀論に与しないのは、それをちゃんと見抜いているからですが、陰謀論者は「彼らの目が節穴だからだ」と唱えるでしょう。

しかし、昔から言われている
少数の人をずっと騙し続けることはできる
多くの人をしばらく騙し続けることもできる
しかし、多くの人をずっと騙し続けることはできない

という言葉は真実だと思います。
世界中の科学者の大半がずっと騙されている、なんていう状況はおこり得ないのではないでょうか。

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