最近のコロナウイルス感染者増加について

過度に恐れる必要はありません

人々の活動が再開されるにつれて、各地で新型コロナウイルス感染者数の増加が伝えられています。東京都では7月2日107人、7月3日124人、7月4日131人と連日100人以上の感染者数が報告されており、7月4日時点での7日間移動平均は85.9人となっています。

緊急事態宣言解除後最多の感染者数を更新し続けている状況に、多くの方が不安を感じておられることと思います。しかし、東京都や政府は「緊急事態宣言は考えていない」「経済活動を再び自粛することは要請しない」との方針です。巷には「東京都知事選に影響しないように誘導している」などと勘繰る声もあるようですが、現在の状況を冷静に分析すると、それほど恐れる必要はないことがわかってきます。

東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」で公表されているデータによると、4月7日に東京都に緊急事態宣言が出された直前の新規感染者数は、4月4日118人、4月5日141人、4月6日85人、4月7日87人、4月7日時点での7日間移動平均は98.3人でした。

単純にこれらの数字を比較すると現在の状況は4月の緊急事態宣言に匹敵する勢いです。しかし、ニュースであまり報道されていませんが、PCR検査の検査数をみると4月7日頃は1日当たり300~500件程度だったのが、最近は連日2000件前後と圧倒的に増えており、4月7日頃は20%を越えていた(最高は4月11日の31.7%)陽性率は7月に入ってからも5%以下にとどまっています。

3月から4月にかけてのPCR検査数と陽性率
4月から5月にかけてのPCR検査数と陽性率
6月以降のPCR検査数と陽性率

つまり、最近の患者数増加は、積極的に検査を行ったことで多くの陽性者を見つけられるようになった結果といえます。集中治療室での管理や人工呼吸器が必要な重症患者数は5月の大型連休明けから一貫して減り続けており、7月4日は9名のみです。

重症患者数は減り続けている
入院患者数はわずかに増加傾向となってきた

入院患者数が若干増加傾向であること、今までの報告では発病7日~8日目頃に重症化する例が多かったことなどを考慮すると、今後重症患者数が増加に転じる可能性はありますが、少なくとも医療資源がひっ迫する状況でないことは明らかです。

楽観や油断は禁物ですが、単純にニュースで伝えられる患者数だけをみて過度に恐れる必要はありません。

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