新型コロナウイルス~情報の氾濫に思うこと(1)

ここ数日、東京都内で新型コロナウイルスに感染する人が300人近い状況が続き、全国に不安が広まっています。さすがに政府も7月22日から前倒しで開始を予定していたGoToトラベルキャンペーンの対象を東京都以外に限定することを発表しましたが、政府の対応には疑問を感じずにはいられません。

さてコロナウイルス関連のニュースを見ると、いろいろと異なる意見が出されており、何を信じたらよいのか悩みます。発信されているる意見は不安をあおる悲観論か、日本人は大丈夫だという楽観論かどちらかのようですが、本当のところは実は誰にもわかりません。誰にも答えがわからない中で、「正しく怖がる」ためには、あふれかえる情報とどのように付き合うかが大切になってきます。私が情報を見る時に気を付けているポイントをいくつか紹介します。

1)誰がいつ発信した情報か確認する

ネット上では多くの人が様々な理由で情報を発信しています。情報に接する時には発信者が誰なのか、信用するに足りる専門家なのかどうかを常に意識します。また、急激な状況の変化に伴い発信時には正しかった情報が古くなってしまう場合もありますので、いつ発せられた情報であるかも重要です。

中には耳目を集めるためにあえて極論ばかりを述べる人もいますし、商業的利益のために発信される情報もあります。その人は他にどんな情報を発信しているかを見てみることも、信ぴょう性を確認する一助となります。中には善意から誤った情報を拡散してしまう人もいますので、情報の大元を辿ることも大切です。

2)情報の根拠を確かめる

情報の根拠として最も信頼できるのは科学論文です。ネット上では科学的な検討がなされた形跡さえない情報が少なからず見受けられますので、惑わされないようにその根拠となる科学論文(できれば一流の学術誌に掲載されたもの)が存在するかどうかを確認することが大切です。

科学論文の一部だけを抜き取って都合の良いように解釈したツイートもよく見られますが、これらには注意が必要です。正確に情報を理解するためには科学論文を読み解く必要がありますが、容易ではありません。難しい場合は信頼できる科学者による解説(例えばノーベル賞の山中教授が開設されているサイトなど)を読むべきです。

科学論文は通常は専門的知識を持つ複数の科学者による査読をうけて、データの正確性を確認されたうえで発表されます。しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大する局面では、情報の速さを優先させて査読を受けないまま多くの論文が発表されました。中には信ぴょう性が怪しい物も含まれており、現在世界中でデータの見直しが行われているところです。時とともに情報は変化する可能性があることも知っておいて下さい。

3)他の情報と比較する

同じようなことを言っている人が他に居るか、あるいは反対のことを言う人がいるか、その人たちは何を根拠にしているのかも検討してみると役に立ちます。ネット上の情報に接する時、人は自分にとって受け入れやすい情報だけを選んでしまう傾向がありますが、色んな見地からの情報を比較検討することは大切です。また、情報の拡散が容易な時代になり、多くの人が同じことを言っていても出所はひとつだったということも起こります。大勢が言うから真実とは限りません。

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